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AI運用だからといって退職金の運用をメガバンクに相談してはいけない

投稿日:2018年1月24日 更新日:

こんにちは。IT/経済ジャーナリストで投資家の渡辺です。

「退職金、どうしようか?」、「銀行に相談して見たら?」という広告がありましたが、これはもっとも「やってはいけない」行動です。やってはいけない理由は以下のようにいくつも浮かびますが、やっていい理由は、資産運用という視点で見た場合には1つも浮かびません。

●手数料の高い金融商品を勧められる

いま銀行は、有効な融資先がない(優良企業はキャッシュがあるので借りてくれないし、借りたいという企業は収益性が低く、リスクが高い)、これまでの低リスクの運用先であった日本国債がマイナス金利の影響で全く利益にならないなどの理由で、金融商品の販売手数料に依存しています。

そのためには資産運用の相談に来た利用者に、できるだけ手数料の高い金融商品を売ろうとします。その代表的な商品は、1)外貨建年金保険と2)アクティブ運用の投資信託です。

1)について、たとえば米国債はいま3%近い利息が付くので、米ドルで運用すればそれなりの運用益を出すことができます。そのため現在もっとも売れ筋の商品ではあります。ただし、満期になった際の為替リスクは金融機関でなく自分が負うことになります。

金融商品取引法では説明の義務があり、契約前に説明されますが、おそらく実体験がないと、ぴんと来ないでしょう。たとえば1万ドル分をいま110万円で契約した場合、もし数年後の満期時に1ドル=90円など円高に振れていたら、20万円損することになります。

結局、自分が為替リスクを負うのであれば、手数料も安く利息のピンハネも少ないFXに、レバレッジなし(1倍)で安いときに参入するのが一番いい方法だと思います。

2)について、投資方針に関するコンセプトや計画を理解して、適切に投資信託を利用すること自体は悪いことではありません。

しかし投資信託には大きく分けて、投資を計画して実際に運用するファンドマネージャーがご本人の考え方で積極的に仕掛けるアクティブ運用と、日経平均やTOPIXなどの市場の指標(市場に出ている株価の平均値など市場の動きを分かりやすく示す数値)と連動するように組み立てるパッシブ運用の2種類があります。

あれこれ手が掛かる分アクティブ運用の方が手数料が高いのですが、皮肉なことにこれまでの統計からパッシブ運用のファンドに継続的に投資する方が利益が出ることが分かっています。

特にパッシブ型は最近、購入時の手数料無料のノーロード型が主流であり、利用者の立場としては、それ以外の選択肢はありません。投資信託自体がどかんと儲かる商品でないので、数%の手数料でもリターンに大きく影響してくるのです。

であれば、銀行もパッシブ運用を月々積み立てるとか株価が下がっているところでまとまった買いを入れるとかアドバイスをくれるのであれば頼り甲斐もあるのですが、残念ながら彼らにはノルマがあり手数料が少しでも高い商品を売りつけたいというインセンティブが働くので、アクティブ運用の商品を売ってくることが多いはずです。

さらに始末に悪いことに「毎月分配型」とか定期的に利益が受け取れるように見える商品を勧めるケースも多いようですが、これは手数料が高い上、利益が出ないと元金を取り崩して分配金を出すこともあるので(俗に「タコが自分の足を食う」と言われます)、これを買う人は「朝三暮四」のサルだということで、絶対に買ってはいけないものです。

●銀行員自身に資産運用の経験がない

銀行や大手の金融機関などでは社員が株の取引をするのを制限していたり、報告を義務付けているところが大半です。またこのようなお堅い仕事を目指す方々なので、リスクのある株取引を積極的にしようとしない方も多いです。

もちろん研修などで一通りの知識は勉強していますが、やはり自分で自分の資産をリスクに晒して、時には眠れない夜を過ごしながら(かつて何度もそんな夜を過ごした編集人としては、それがいいのかは疑問ではありますが)経験を積み、利益を出すための方法論や技術を確立した投資家と違い、誰かに指導や助言をできるレベルではないように思えます。

●銀行の利息が低く手数料が高い

今後メガバンクはAI等を導入し、数万人規模の人員削減を数年かけて進めていくことを発表しています。つまり多大な人員や経営資源を抱え、膨大な人件費や維持費、止めた方がいい利益の出ない業務にコストを払いつつ利益を出していかないといけないという、かなりつらい状況にあるわけです。

そのため利息はほとんど付かず、やや利息のいい外貨預金もネット銀行やFX業者に比べると笑ってしまうほどひどいレベルです。つまり積極的に運用しないからと普通預金や定期預金に入れていても、利子は付かないし、何かしら名目をつけては手数料を取られるので、長い目で見ると(一見低リスクに見えて)資産が目減りするということです。

**********

最近、一部のメガバンクなどでAIによって運用する資産配分を決めるというツールが出てきました。しかし、これについてはAIを使うまでもなく、1)アクティブでなくパッシブ投信を使うこと、2)国内株式のファンドに4割、海外株式のファンドに6割を割り振るが最適な配分であることが分かっています。

あとは、年に一度はある大暴落イベントの際に買うとか、一度に全部買わずに何度かに分けて買う、分配金や利益も投資に回して複利運用にするなどいくつかの工夫で利益を伸ばすことができるはずです。

AIというマジックワードを使って、高い(=利用者にとって相対的に不利な)金融商品を買わせるためのツールのように思えます。

**********

悪いことばかり書きましたが、全て嘘ではありません。というか冷静に考えれば誰にでも分かる周知の事実です。そして金融機関の言いなりになって損しても(下手なやり方の上、手数料も高いので、損する確率は高いです)「自己責任」の一言で済まされます。

なので、冷静に事実を見つめつつ、やはりいろいろ自分で調べて理解できた範囲で慎重に自分のお金に働いてもらうしかないと思います。

参考: http://money.ai-life.info/2018/01/13/modeling/
※編集人の考えを端的にまとめたものです。

ちなみに資産運用に関する雑誌なども参考にしてはいけません。メガバンクや大手金融機関が彼らの広告主であり、彼らにとっても読み手の資産の増減より自らの持つ媒体の売上の方が大事なので、広告主の不利益になる情報を流すことはできません。

ある意味悲しいことではありますが、人の欲望がストレートに交錯する資産運用の世界では、騙される方がマヌケということになります。

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