【キャリアレポート】銀行員の退職が増えていく理由

こんにちは。IT/経済ジャーナリストで投資家の渡辺です。

「約100人の同期のうち、すでに50人ほどが銀行を去りました」

相変わらず、ショッキングな見出しで読者の気を引く文春砲です。

参考: 現場報告 銀行員がどんどん辞めている
*文春オンラインに飛びます
AI導入でお払い箱になるメガバンク社員(過去の記事)

でも、あながち冗談ではなくなってきました。

銀行の役割が変わってきた?

預金者からお金を集めて、それをこれから成長しようという有望な企業に貸し、時には出資者の視点やファイナンスのプロとして助言を行い、資金を融資した企業の成長をサポートしながら金利を受け取る。

このような古き良き銀行のビジネスは、今は成立していません。

そもそも高度経済成長期の時のような、まとまった資金を必要とする起業が少ない、低成長経済で有望なビジネスが見込めない、逆にビジネスチャンスがあってもバイオやITなどベンチャー分野はリスクがあるので手が出せません。

安全資産として預金者から借りているという資金の性質上、信用が高くリスクが低い資産以外での投資はできず、それが銀行マンの投資の眼力やファイナンスのスキル低下の主な原因にさえなっています。

特に、金融危機を経験してマニュアルやチェックリスト方式で一律に投資対象を表面的な情報で評価することを繰り返しているうち、全くリスク資産への対応ができなくなってしまったとも言えます。

リスクと利益は表裏一体ですから、リスクが取れないということは、すなわち利益も出せないということになります。

投資家から見てまだ無駄が多い

このように図体ばかり大きくて、金融のスキルや経験値は高くない集団となっているのが、昨今の銀行と言えます。

結局、手数料の高い、言い換えれば顧客にとって旨味の少ない金融商品(投資信託、投資性保険など)を、知識は乏しく、それでもまとまった資産をもつ高齢者に売り付けるというビジネスに走っていきます。

やっていることの正当性は薄く、ノルマはきつく、これが現場の銀行員を無闇に疲弊させる大きな原因になっているはずです。

また、視点を変えて、投資家にとっての投資先として銀行を見た場合、まだまだ無駄を削って利益が上げられるように見えます。

前述の記事にもありましたが、高い教育を受けていて、でもリスクを取らない習性が身に付いてしまっていて、でも他の業種よりは高給を取っている余剰な人間が少なからずいる。ここはまだ削れるだろう、という議論にはなります。

またかつては郊外の駅前にまで、支店や出張所がありました。昨今はずいぶん整理統合されてはいますが。

その場所自体が駅前の一等地の不動産ということで、価値があるわけです。

いくら郊外の顧客の満足度を高めるためとは言え、それも人件費や光熱費など運営するコストは掛かるわけですから、利益にならないなら不動産を売却して売却益を得るか、もっと利益の出る事業に賃貸する、つまり不動産業に鞍替えすべきという考え方になります。

昨今のテレビ局がまさにこのスタイルで、放送で利益が出ない分を自社の不動産の賃貸で、大家として利益を出しています。

銀行も不動産を持っているので、同じことができないか、ということです。

大手の銀行でAIやロボットの導入を進めているということは、このような資本の論理による要求を経営層は理解しているということになります。

そうなると一部の幹部候補の方以外は、価値観を切り替えて何か別の道を探すか、サバイバルのために、何か武器になるものを得るか、という選択を迫られることになります。

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1つ、多少自信がなくても、ユーザーの立場で人工知能に関連するプロジェクトに参画して、この分野での知識や経験を積極的に積んでおくといいかと思います。

まだ掛け声ばかりで経験者が多いわけではないので、銀行内部で生き残りを図るにせよ、他の分野に転身するにせよ、大きなアドバンテージになります。

たとえば通常の事務や窓口営業をしてきた銀行員、あるいはシステム部門で業務システムの運用や開発、保守をしてきた人は、それなりにたくさんいます。

でも、人工知能の導入プロジェクトに関わったということは、今ならまだ武器になります。

あと5年とかすると、導入する企業やベンダー(開発会社)も増え、希少性は下がってくるでしょうが。

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