こんにちは。IT/経済ジャーナリストで投資家の渡辺です。
NHKのニュース特集でAIによる飲食店ビジネスを支援するサービスについて、報道していました。少しずつAIによってビジネスや生活が変わりつつあることを実感する情報なので、共有させていただきます。
まずはもうすぐ導入されそうな、リクルートの飲食店の店長業務を支援するサービス。
専用のアプリを組み入れた端末にお客さんの注文を入力することで、自動的に毎日の売り上げや客の数などの情報が蓄積され、集計されます。
深夜に閉店後、さらにその日の会計や関連する業務管理はお店の責任者にとって大変な仕事だと思いますが、まずはそこを自動化することで、営業時間中の受注から閉店後の集計や会計管理を大きく省力化できます。
データが蓄積されてくれば、そのお店や同じエリアの同業他社の状況などから、AIが需要予測や仕入れの発注、スタッフのシフト、さらにはお客さんの属性から注文する内容の予測やお勧め料理の選定など、幅広いところでの効率化や売上増進をサポートしてくれることでしょう。
さて、このサービスだけでも事務仕事が削減され、また単なる記帳以上の機能、つまり経営アドバイザーや経営コンサルティングの機能も提供されます。
ある程度の傾向が出せるくらいデータが蓄積されてAIの学習が進んでくれば、業務の効率化やコスト削減、売上の向上といった機能も提供されることになるでしょう。
とはいえ、料理を作ったりテーブルに運ぶ部分は、どうしても人手に頼らざるを得ません。
もう1つのニュースは、旅行業界大手のH.I.S.が提供するロボットがコーヒーを淹れるカフェが渋谷にオープンしたものです。
その名も「変なカフェ」だそうですが、いずれはロボットが調理や配膳してくれる世界も出てくるでしょうから、あと何年「変な」と名乗れるのか興味があります。
さまざまな食材や調味料をさまざまな組み合わせやタイミングで調理する「ロボットコックさん」を作るのは、もう少し時間が掛かると思います。
料理に特化しているとはいえ、ほとんどアンドロイドを作るような手間が掛かりますし、味見は当分は人間の独壇場だともいえます。
とはいえ、作り方がある程度ルーティン化できるコーヒーや、立ち食いうどん・蕎麦、カレーの盛り付けなどは近いうちにロボット化が進んでいくのではないかと思います。
すでに(全然AIではありませんが)カップラーメンやチキンやホットドッグのようなスナックフードであれば、自動販売機で売られています。
まずはそういうメカニズムを土台に、調理処理の監視や管理を自動化して人手を減らしてロボット化していくことは、すでに進展中かと思います。
さらに自動運転のごく初歩的な技術を使えば、ペッパー君のようなロボットが周囲の状況を判断しながら自動で配膳や給仕をしてくれるでしょうから、ロボットだけのファーストフード店とかファミリーレストランは、近い将来出てくることになるかと思います。
あと配膳の仕組みについては、すでに電子的に注文を受けて、物理的にお皿を各テーブルに届ける機能が組み込まれている回転寿司などは一歩リードしているといえそうです。
大手はともかく小さな個人経営のところがロボットを導入することはないので、テクノロジーベースで効率化された大手の飲食店、人間によるおもてなしやそこでしか提供されない飲食物で差別化しようとする中堅から準大手の飲食店、個人ベースで店主のこだわりや趣味、嗜好を反映した小規模店というように分かれていくのではないでしょうか。
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