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【サラリーマンの生き方】働き方改革の要点をまとめると

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こんにちは。IT/経済ジャーナリストで投資家の渡辺です。

働き方改革の本丸として、裁量労働制を導入するのか、大きく話題になっていましたが、結局、裁量労働制は導入しないことになりました。それでは何だか骨抜きです。

編集人は、適切な制度設計をベースにした、働き方改革は必要だと思っています。

今の正社員至上主義の死にそうに画一的な働き方しかない労働市場ではなく、個人のニーズや嗜好、ライフスタイルに合った自由で柔軟な労働スタイルが、ひいては個々人の生活が可能になるからです。

もちろん、制度を変えれば全員が100%幸福になるというものでもなく、立場によってメリット、デメリット、課題があります。

何が良くて、何が悪くて、結局社会にどういう変化をもたらすのか、またどういう人にはメリットがあって、どういう人にはデメリットがあるのか、多くの人が幸福になるには何が課題なのか、まとめてみました。

●問題点

まず、今の労働現場での主要な課題を3つに整理してみます。

1、仕事内容が変わらなくても、賃金や福利厚生で正社員と非正規社員の間には身分差別(=人権問題)というべき差がある

2、健康を損ねるほどの残業を余儀なくされても正社員は対応せざるを得ない

3、解雇できないことと再雇用の困難さで、社会全体のリソースの最適な半分ができない

1、仕事内容が変わらなくても、賃金や福利厚生で正社員と非正規社員で身分差別というべき差がある

働き方改革の第一のポイントです。正社員至上主義ともいえる信仰があり、正社員の身分は法的にかなり厚く守られていますが、これが正社員個々人を(たとえ会社や仕事がイヤでも)会社に縛り付けています。

また同じことをしていて待遇に差があるというのは、法の下の平等に反する人権上の差別だという、法的な問題があります。

こちらについては、同一労働同一賃金が実施されれば、法制度的には解決されるでしょう。

多くの会社では、既存の正社員を名ばかり管理職にして、当面は何らかのオブラートに包んでこの「身分制度」を存続させることは容易に予想できますが

2、健康を損ねるほどの残業を余儀なくされても正社員は対応せざるを得ない
3、解雇できないことと再雇用の困難さで、社会全体のリソースの最適な半分ができない

2、と3、は事象としては似ていますが、2、は個人としてのデメリット、3、は社会全体としてのデメリットとそれによる社会的損失を意味しています。

会社はいったん正社員を雇用してしまうと、給与や待遇面の縮小や解雇が容易にできません過去の判例で、裁判になった場合に倒産寸前くらいの切羽詰まった状況でない限り、正社員を解雇できないという過去の判例があるため)。

たとえば業績が悪化したから人員を減らしたい、ビジネスを再構築(本来の意味でもリストラクチャリング)するので一部の事業部を解体したい、あるいは性格や技能に問題があって組織の運営に支障が出るので、外に出したい等など、解雇せざるを得ない状況がよくあります。

でも実質的に正社員の解雇はダメという司法による判断が出ているため、コンプライアンスやそれにともなう風評を気にする、一定以上の規模なりブランドを確立している会社では、正社員を採用する際は慎重にならざるを得ません

●容易に正社員を採用しないことによる2つの弊害

その結果、現時点で2つの問題が発生しています。

1つ目は、会社がなかなか正社員を雇用しないということは、労働者の立場で見ると、いったん会社を辞めると正社員として転職できないリスクが増大します。家のローンやまだ巣立っていない子供がいると、ますますリスクを取れなくなります。

そのため、適性がなくても、あるいは別のことに挑戦したくても、さらにはブラック職場環境であっても、会社を辞めるという選択肢が取りづらくなります。

会社側も急にヒット商品があったり、何かニーズがあって業務量が増えても、容易に社員を増やさないので、増えた仕事を正社員が残業や休日出勤でカバーすることになります。

本来、適切なリソース配分は経営者の責任ですが、正社員雇用のトラブルによる訴訟リスクと人件費増加の責任を現行の正社員に丸投げしているとも言えます。

もう1つ、人材の流動性がないことで、やる気のない社員があまり優先度の高くない仕事をダラダラやっていることは会社の生産性を下げますし、また本来リソースを集中すべき産業や企業に人が流れていかないので、必要な分野に十分な労働力を投入できない、つまり社会全体のリソースの最適化ができなくなって来ます。

何より(個人差はあると思いますが)、大幅なオーバーワークをずっと続けていると、心か身体か、はたまた両方にいずれはガタが来ます。

逃げ場がないと、メンタルを壊すか、極端な場合は解決策がないと思い込み、自ら死を選ぶ危険もあります。

心身を壊した場合の医療費、自死した場合の社会的なコストなど、マクロな目で見た場合、社会全体で大きな損失を負うことになります。

●働き方改革後の理想像

個人は雇用の機会が増えて自在な働き方や柔軟な会社の選択ができて、ができるようになると、以下のようなメリットが期待できます。

  • 待遇や労働条件の良くない会社から、よりよい待遇や労働条件の会社に転職しやすくなる
     → ブラック企業は転職市場で嫌われるので、運営できる人員を確保できず、やがては淘汰されるでしょう。また同じ業種なら給与の高い会社に人が集まるので、企業間で待遇を可能な限り良くするインセンティブになります。
  • 希望しない職場や職種から、自分のやりたい職種や会社に移動して再チャレンジしやすくなる
     → 欧米では普通にやっていることです(かくいう編集人もその時の関心や利益のため、何度か会社を渡り歩きましたが)。
  • いったん仕事を辞めて大学・大学院で学び直したり留学するなど、キャリアチェンジやキャリアアップに役立てる
     → これまた欧米ではよくあることです。
  • 在宅勤務やフレックス勤務など、自分の生活ペースに合わせて勤務できる
     → これが裁量労働制のメリットです。
  • ライフステージに合わせて一時的に休職や時短勤務、委託契約になるなどで、育児や介護に対応できる
  • 社内政治より専門家としてのスキルの習得や経験値の蓄積が重要になるので、個人は転職しやすくなり、会社は生産性が上がる

●残る課題

さて、メリットばかり書きました。多くの人の善意によって改革がスムーズに進めばいいのですが、当然現実にはデメリットもあり、そのための課題もあります。

  • まず企業に、金銭補償による解雇を認める必要があります。
    企業は解雇ができないことで、新規採用を抑制します。結果的に(辞めたら正社員として転職できないから・・・)と個人を1つの会社に封じ込め、必要な業界へのスムーズな人員の再配置を止めてしまいます。
  • 個々人の仕事の目的、範囲、権限、成果物を「職務記述書」等で明確にする必要があります。
    これがないと仕事の早い人に業務が集中して割り振りが不公平になるし、狡猾にやればやっているフリが出来てしまうし、そもそも仕事の目標や範囲がないと後で評価のしようもなくなります
  • 適切な目標設定と成果物、評価を設定できるか。
    とても難しいのですが、これを誤ると大半の人が達成しやすいよう、低い目標を立てて設定するようになり、組織全体の成長が危うくなります
  • 裁量労働制を認める必要があります。現時点でもそうですが、一部の専門職はある成果物をアウトプットすることが仕事ですから、時間単位では測れないものです。その条件として、フレックスタイムや在宅勤務など多様なワークスタイルを認めることも重要です。
    ただし、リスクとしては(多くの人が懸念するよう)企業がこの仕組みを悪用して、社員に格安定額労働を強いる恐れがあります。こちらは違反した企業には業務停止などの重罰を与えると行った法制度での統制と、転職のハードルが下がることで、低賃金や劣悪な労働環境といった企業は、労働市場で嫌われ淘汰されるというインセンティブ設計で双方からカバーするべきです。
  • 時間で管理されるブルーカラー系労働者から裁量労働が適用される職種に対し、「あいつら遅く出社したり早く退社したりして不公平だ」と不平が出て士気が下がる懸念もあります。いずれの立場でもメリット、デメリットがありますし、専門性の違いなどもありますが、とかく人のいい部分に目が行って、それに嫉妬するものです。

結局、日々の糧とわずかな愉しみを得るために、我々は不本意な労働に耐えてきている訳ですが、この経済的な心配をなくすことが政治にもっとも期待することです。

おそらく将来的には、いろいろな国でベーシックインカムの議論が活発になることと思います。

ベーシックインカムについては、また後日議論できればと思います。当面は編集人は、物書きとしての活動と並行して、金融マーケットからお金を工面する研究を続けます。

最低限の生活が保証され、その上で自在な働き方が可能である社会が今よりいいことは自明です。

そうなると、多くの人がやりたいことに取り組めて、ある程度のQOL(Quality of Life、生活の質)を実現できて、驚異的な自殺率やうつ病率も低減されるのではないかと思っています。

改革を潰そうとする野党や一部マスコミの言説は、決して労働者の利益を守るものではありません(一定の層にアピールできているなら、彼らの商売には寄与するでしょうが)。

政治にはメリットと課題を明確にした上で建設的な議論をしてもらいたいし、物書きとしてはそのための情報発信を続けていきたいと思います。

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