【AIメカニズム】AIはビッグデータをエサに成長する

こんにちは。経済/ITジャーナリストで投資家の渡辺です。

学生の頃の確率・統計の勉強には苦労した思い出がある人も多いかと思います。ところがビジネスの世界では、これほど使える学問はありません。

●金融を支える確率論

もともと、金融系では投資や保険の分野を中心に、株価の値動きや人の寿命、事故の起きる頻度といった過去のデータから確率論的に適切な数値を導き出し、投資配分を決めたり、保険料を決めたりしていました。

金融工学という分野で土台となっているのは、確率・統計の考え方です(数学科出身の知人に言わせると、算数レベルの計算しかやっていないそうですが)。

実際、人の思考や行動、嗜好(ダジャレではありません)にはある種のパターンがあること、またサイコロをたくさん振っているとそれぞれの目が出る確率が6分の1に収斂していくように、大数の法則が働き、母数が大きくなるほど、一定の傾向が出てくることが知られています。

おそらく一定以上の規模のビジネスを展開している企業やサービスであれば、すでに社内にあるデータを分析し、また複数の項目の関連や相関を調べ、そこから何か傾向や特徴を導き出して、ビジネスに活かしているかと思います。

どこに連関がありそうか仮説を立てて、実データで検証していく、まさにデータアナリストの腕の見せ所です。

●ネットショッピングのオススメ商品の仕組み

たとえばeコマースなどネット上の販売であれば、商品毎に取り出して、売れ行きがいいのはどの時間帯か、とか、他にどの商品と併せ買いをする傾向が強いか、もし顧客の属性が分かっていれば性別や年齢、住んでいるエリアなどでさまざまな傾向が出るかと思います。

そのユーザーの方がある商品を探しているときに、画面の横に「この商品に関心のある方は、こちらをよく買っています」ということで案内すると、 100人に2人とか一定の割合の方が興味を持って併せ買いしてくれて、売上がアップするわけです。編集人もよく引っ掛かりますが。

オススメ

それ以外でも、同じ会社の事務処理をポイント毎に記録して、どこで手間や時間が掛かっているか、どこにリソースを集中すべきか、どこを改善すれば、より早く安く処理ができるか、といった効率化につなげることも考えられます。

また顧客からの問い合わせや苦情といったデータを定期的に分析して、定点観測することでも、何が問題か、どこが顧客を悩ませるポイントか把握できれば、サイトのデザインを変えたり、案内文を追加したり、また業務プロセスを改良するなど、問い合わせや苦情の軽減化にも繋がります。

先日もアンケートがなされていましたが、コンピュータで制御するオートメーション製造設備をもつ製造業では、すでに機械の操作や品質チェックなど特定のエリアでのAI活用が進捗しているようです。

参考:AIに対する技術者のアンケート結果はけっこうポジティブ

このような分野では、これまで人手でやっていた作業をAIにやらせることが進んでいくでしょう。

●AIに学習させる

AIがここ最近急速に発達してきたのは、ディープラーニング(深層学習)という技術が確立されてきたからです。

この実態も大量のデータ、まさにビッグデータを読み込ませて、そこで学習を行わせ、微妙な判断や複雑な認知を一定以上の精度でできるように、経験値を蓄積させていくわけです。

前述のビッグデータの分析で、実際にデータ分析の専門家が仮説を立てていろいろな組み合わせやアプローチを試していたことや、あるいは実際に人間が経験を積みながら学習しています。

今後は大量のデータ、つまりビッグデータを与えて機械に学習させ、また日々処理しながら、そのデータをフィードしてまた学習し、、、という好循環を回すことで、システムのラーニングカーブ(学習量とその結果のパフォーマンス向上)が上に向かい、処理の正確性や適切性といった精度が高まっていくわけです。

まさに人間も勉強しないと置いていかれそうですが、量や速度では人間は機械にかないません。人間しかできないアナログな能力を磨きつつ、AIを活用する側に回って上手く使いこなすことで利益を上げていくのがいいでしょう。

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